第一外科(一般・消化器外科、腹膜播種センター)

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腹膜播種(ふくまくはしゅ)と腹膜播種センターの役割

 腹膜播種とは、腹膜内を覆う腹膜の表面に腫瘍細胞が散布され、生着した状態をさします。腹膜播種は重大な疾患ですが、その臨床経過を見ると腹腔内以外への進展が意外に少ないことが経験上分かっています。つまり、腹膜播種は局所の病気とも言えます。

 腹膜播種を伴う悪性疾患に対する通常の治療法(抗がん剤治療や姑息的手術)の生存率は非常に悪いことが知られていますが、適切な症例を選択したうえで播種病変を切除する腹膜切除術と温熱化学療法を行うと比較的良好な成績が得られることが報告されてきており、欧米では腹膜播種患者の治療法の選択肢の一つとして確立されています。

 しかしながら、日本でこの治療は限られた施設のみで行われているのが現状です。

 当院では2007年12月から腹膜播種センターを設立し、腹膜播種を伴う各種疾患に対して、2015年12月までに1,300例を超える外科手術を行ってきました。当センターは外科手術とともに腹腔内温熱化学療法や全身化学療法、肝転移に対するRF(ラジオ波焼灼術)治療などを含めた集学的治療も積極的に展開しています。

 このホームページでは、腹膜播種の異なる各種病態を紹介し、腹膜播種特有の治療法について解説します。

 

 

 

表1 手術件数

情報量が多い場合に横にスクロールできます。
  2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
手術数 3 85 89 112 130 156 230 246

 

表2 症例数( 2007年12月~2015年12月 )

腹膜偽粘液腫 702例
胃がん播種 245例
大腸がん播種 185例
卵巣がん播種 63例
腹膜がん 32例
腹膜中皮腫 23例
その他 92例

腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)

 50万から100万人に一人の割合で発生する、おなかの中にゼリー状の粘液物質が貯留するまれな疾患です。男女比は1:3と女性に多い疾患で、50から60歳台に好発しますが、20歳代の若者や高齢者での発症も見られます。この疾患は、腹腔内臓器にできた粘液産生腫瘍が増大して、自身の臓器の壁を突き破ることから発生します。90%以上は虫垂腫瘍が原因となりますが、卵巣や大腸、尿膜管や膵臓からの発生も見られます。

 この疾患の特徴は、肺や脳などおなかの外への転移や、肝臓、リンパ節への転移がほとんどみられないことです。さらに胃がんや大腸がんなどの消化器がんにくらべると比較的ゆっくりと進行します。従って、おなかの中の腫瘍を手術で完全に切除すれば、病気の治癒や長期の生存が期待できます。

 

図1 虫垂粘液嚢腫

 

図2 進行した腹膜偽粘液腫

 

 腹膜偽粘液種は放置すると腸閉塞や腸管の破裂を引き起こします。今までの一般的治療での報告での5年生存率は20-50%程度とされています。当院では2015年末までに500例近くの腹膜偽粘液腫の患者さんに、延べ700回の手術を行ってきました。全例の5年生存率は62%で、完全切除された患者さんでは80%を超える成績を上げています。

 

図3 術後の生存率

 

図4 完全切除後の生存率

大腸がん腹膜播種

 大腸がんの腹膜播種は、大腸がん患者の10%程度に見られ、抗がん剤による通常の治療法での5年生存率は10%以下とされています。

 当院での大腸がん腹膜播種に対し切除可能と判断した場合、腹膜切除と腹腔内温熱化学療法を行っています。その結果、手術症例での腹膜播種判明時からの5年生存率は32%でした。腹膜偽粘液腫とは異なり、通常は大腸がん腹膜播種の患者さんには術前及び術後の抗がん剤治療を併用しています。

 

図5 大腸がん腹膜播種の術後生存率

 

胃がん腹膜播種

 胃がん腹膜播種の患者さんに対するアプローチは腹膜偽粘液腫や大腸がん腹膜播種の患者さんとは若干異なっています。これは、胃がんでは細胞の悪性度が高く、小腸が広範に浸潤を受けていることが多いためです。

 胃がん腹膜播種の患者さんには、まず腹腔鏡検査(審査腹腔鏡)を受けていただき、その結果により治療法を選択しています。症例により術後の抗がん剤投与のために腹腔ポートを留置します。

術後は、腹腔ポートから抗がん剤の投与を定期的に行います。審査腹腔鏡で播種病変が少なかった場合や切除可能と判断した場合には腹膜切除術を予定します。病変が広範囲に広がっている場合には。抗がん剤の効果判定のために再度審査腹腔鏡を行い、抗がん剤治療の継続か腹膜切除術の選択を行います。

 

図6 当院での胃がん腹膜播種に対する取り組み

 

 

当センターの特徴的な治療法

1)腹膜切除

 腹膜播種の病変を切除するには腹膜切除という特殊な手技を必要とします。これは複数の臓器切除を伴う広範囲の腹膜を切除する方法で、手術手技のみならず術後の管理にも専門的な知識と経験が必要で、日本では数施設でおこなわれているのみです。

 

2)温熱化学療法(開腹)

 腹膜切除によって肉眼的に播種病変を完全切除しても、目に見えないがん細胞の残存の可能性があります。細胞は43度の温度で急激に死滅することが分かっています。また温熱療法は抗がん剤の効果も増強します。当センターでは、開腹下に42-43度の抗がん剤を加えた生理食塩水を用いて1時間の温熱化学療法を行っています。

 この治療は、悪性の腹水貯留や腹膜播種病変自体のコントロールにも有用です。

 

3)腹腔内抗がん剤投与

 腹腔ポートを留置し、そこからおなかの中(腹腔内)に抗がん剤の投与を行っています。全身への抗がん剤投与と異なり、腹腔内への抗がん剤投与は局所的に抗がん剤の濃度を高く保つことができ、また全身の副作用を抑えることができます。主に、胃がん、卵巣がんや腹膜がんの患者さんを対象としています。

 

4)腹水濾過濃縮再静注法(CART)

 腹膜播種の患者さんの中には腹水の貯留により日常生活に多大な支障が出る場合があります。従来から、腹水を抜くと体の水分やたんぱく質が失われて、病状に悪影響を与えるものと言われ、腹水は抜かずに利尿剤などの投与や麻薬などの鎮痛剤投与が行われてきました。

 CARTはおなかにたまっている腹水をすべて抜いて、必要なアルブミンやグロブリンなどの有用なたんぱく質のみを抽出して、再度点滴で静脈内に返す方法です。不要な水分、がん細胞や細菌などは除去されますので、再静注しても安全であることが明らかとなっています。

 

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